朝のベンチとテーブル

対人援助の仕事と日々

昼休みの読書

今の職場は休憩できる部屋がせまいので、昼休みに本を読むことを控えるようになった。

顔を突き合わせて雑談しながら食事をしているような場所でひとり本を読んでいるのは、気が引ける。

本を読んでいると、何読んでるの?とか聞かれるのも、まあ、煩わしい。

勢い、話すこともなければ、スマホTwitterを見たりして過ごすことになっていた。

中学生の頃は、食事を済ませたあと自分の席で小説など文庫本を読んでいたものだった。

教室ならば、一人でいても気まずくなかったのはなぜだろうか。

それが、二度目の緊急事態宣言が出て、職場でもデイサービスを利用する高齢の方向けの食堂が使われないことになった。

密を避けるということもあって、今までの休憩場所は利用人数が制限され、がらんと空いた食堂で職員が昼の休憩をとっても良いことになった。

それで、久しぶりに、昼休みに気兼ねなく読書できるようになった。

といっても、食堂が空いてから2週間ほどは、読書できるな、とも読書しよう、とも思わなかったので、習慣というのはおそろしい。

たまたま持参した本に栞がなかったのだけど、あえてそのまま栞を挟まないで、前後を確かめながらゆっくり読んでゆこう、そう思った。

久しぶりに実家に帰ったような感じで、あらためて休憩に読書することのよさを思う。

細切れの時間に、詩歌を論じた新書なんかを、ゆっくりと読み進めていると、せわしなくネットにつながった端末に目を落とすのとはやはり何か違って、ほんの数分でも、世の中から一歩身を引いて、くつろいだ時間に、凝り固まった気分を解きほぐすことができているようで、いったいいつまで気兼ねなく読書できる休憩をとる機会が許されるものかわからないけれど、しばらくは、このリラックスできるひとときを味わっておくことにしよう、と、そう思う。